弘法大師空海、お大師さんの著書「般若心経秘鍵:はんにゃしんぎょうひけん」の中に「それ仏法遥かにあらず、心中にして即ち近し」という言葉があります。「仏の教えは遥か遠くにあるわけではない。それは心の中にあって、ごく近いものなのだ。真理は外の世界にあるわけではない。それなのに自分自身以外のどこに求めようというのか。」という意味合いです。
また、お大師さんが天台宗の開祖「最澄」さんにあてた手紙の中には「もし仏の深い教えを知りたいのであれば、あなたの心の中にその仏はいらっしゃる。答えはすでにあなたの中にあるのだ。」と書かれています。
実は、仏というものは遠くにあって拝むものでも、外の世界に探しに行くものでもないのです。それはすでに私たちの心の中にあるのです。
「仏」という言葉がピンと来ない方は「しあわせ」という言葉に置き換えてみてください。仏法は人々のしあわせを願う教えですから文章は一向におかしなことにはなりません。
「しあわせは遥かにあらず。心の中にあってすなわち近し。」
失ったと思ったもの、大事な探し物はごく身近なところにあるのです。私たちはそれに気づかないだけで、常に外の世界に求めているだけなのです。
手に入らないものを無理やりに手に入れようとすることを「貪る:むさぼる」と言います。
「貪る」何とも嫌な響きですが、皆さんが普段からたくさんされていることです。「あれもこれもほしい。これもあれもやりたい。もっともっとほしい。」
その心の中にある「しあわせ」に気づくための第一歩が「貪る」ことから離れることなのです。
「小欲知足」すくない欲でたりることを知る。
そのことに気づくことができたならば皆さんの心の中の仏様は大きく輝き続けることでしょう。
「しわせは遠くにあるのではないですよ。心の中にあってとても近い存在なのですよ。それなのに自分以外のところに求めてもだめですよ。貪ることをやめなさいよ。」とお大師様は私たちに優しく語り掛けてくれているのです。
「南無大師遍照金剛」
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